2026年2月25日水曜日

化粧水の音を聞く夜

一日の終わり、部屋が静かになったころ。
洗顔をすませて、タオルでそっと水気を拭き取る。
鏡の前に立つと、少しだけ素直な顔がそこにある。

手のひらに出した化粧水が、ひやりと広がる。
ぱしゃ、と小さな音。
両手で包み込むように頬にあてると、またかすかな音がする。
それは誰にも聞こえないくらいの、夜だけの音。

昼間は気づかなかった乾きや疲れが、
指先を通してゆっくりと伝わってくる。
「今日はどうだった?」と、肌に問いかけるように、
やさしく押さえて、なじませる。

化粧水の音を聞く夜は、少しだけ時間がゆるむ。
急がなくていい、競わなくていい。
ただ、今日を終えるための静かな儀式。

最後にもう一度、そっと手のひらで包む。
肌の温度と、自分の呼吸が重なる。
それだけで、明日もなんとかやれそうな気がする。

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