特別なことがあった日のスキンケアは、不思議と覚えています。
大事な予定の前の夜に、ちょっと良いパックをした日。旅行先のホテルで、小さなボトルに詰め替えた化粧水を使った日。そういう日は気合いが入っていて、鏡の中の自分とも、ちゃんと向き合っています。
では、なんでもない日はどうでしょうか。
仕事や家事でくたくたになって帰ってきて、気づいたら日付が変わりそうで、「今日はもう、顔を洗って寝るだけでいいかな」と思う夜。正直に言うと、私はそんな夜のほうがずっと多いです。
スキンケアは「やらなきゃいけないこと」のひとつでした。やらないと後悔しそうだから、とりあえずやる。終わったらすぐ布団に入る。そこに楽しさや余裕はあまりなくて、タスクをひとつ片づけるような感覚でした。
きっかけは、ほんの小さなことだった
変わったきっかけは、とても地味です。
ある夜、化粧水を手のひらに出したとき、ふわっと香りが立ちました。いつもなら気にも留めないのに、その日はなぜかそこで手が止まったのです。
「あ、いい香りだな」
たったそれだけのことでした。でも、その一瞬だけ、頭の中で鳴り続けていた「明日の予定」や「やり残したこと」の音が、すっと小さくなった気がしました。
それから私は、スキンケアの時間に「ひとつだけ」何かを感じてみることにしました。難しいことはしません。
- 化粧水を手に取ったときの、ひんやりした感触
- 顔に重ねたときの、手のひらの温度
- クリームをのばすときの、やわらかい香り
全部を味わおうとしなくて大丈夫です。今日はどれかひとつ。それだけで、同じスキンケアがまったく別の時間になりました。
「丁寧に」を、がんばりすぎない
丁寧な暮らし、という言葉には少しだけ憧れがあります。でも、毎日それを実践するのは、正直しんどいです。
だから私は、丁寧にやることを目標にするのをやめました。かわりに決めたのは、「雑にしない日を、少しだけ増やす」ことです。
- 洗顔のあと、タオルでごしごしこすらず、そっと押さえてみる
- 化粧水をなじませるとき、深呼吸をひとつしてみる
- 寝る前に、鏡の中の自分に「おつかれさま」と心の中で言ってみる
どれも一分もかかりません。それでも、「今日の自分をちゃんと扱った」という小さな手応えが、夜の気持ちをふんわりやわらげてくれます。
もちろん、まったく余裕のない日もあります。そんな日は、いつも通りさっと済ませて大丈夫。続けるために、ゆるさはとても大切です。
好きになると、続けるのが苦じゃなくなる
不思議なもので、「好きかも」と思えるようになると、スキンケアはがんばって続けるものではなくなりました。
使い切るまで同じものを続けるのが苦手だった私が、気づけば「この香りが落ち着くから」という理由で、自然と手に取っています。逆に、自分に合わないなと思ったものは、無理に使い続けなくていい、と考えられるようにもなりました。肌の調子は季節や体調でも変わるので、そのときの自分に合う心地よさを選べばいいのだと思います。
もし、肌に違和感や気になる変化が続くときは、自己判断で頑張りすぎず、皮膚科など専門の方に相談するのも大切です。心地よさと安心は、セットで考えたいものです。
鏡の前の数分間は、自分のための時間
スキンケアは、肌を整えるための習慣です。でも、それだけではないと今は思っています。
一日の終わりに、誰にも邪魔されず、自分のために使える数分間。スマホを少し置いて、手のひらのぬくもりを感じて、ひと呼吸おく。そんな静かな時間が、毎晩ちゃんと用意されているなんて、考えてみればけっこう贅沢です。
特別な日のごほうびスキンケアも、もちろん素敵です。でも、なんでもない日のスキンケアに、ほんの少しだけ「好き」の気持ちを混ぜてみる。それだけで、平凡な一日の終わりが、ちょっとだけやさしくなります。
今夜、化粧水を手に取ったら、まずは香りを、ひとつだけ感じてみてください。
なんでもない日が、少し好きになるかもしれません。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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