一日の終わりに、洗面所の鏡の前に立つ。
仕事で気を張っていた日も、予定がぎっしりだった日も、なんとなく気持ちが追いつかなかった日も、ここだけは少し空気が違います。蛇口から出る水の音、ほのかに立ちのぼる化粧水の香り、自分の手のひらのぬくもり。ほんの数分なのに、一日の中でいちばん静かな時間かもしれません。
■ スキンケアは「肌のため」だけじゃなかった
スキンケアというと、どうしても「きれいになるため」「年齢に負けないため」と考えがちです。もちろんそれも大切です。
でも続けているうちに気づいたことがあります。夜のスキンケアは、肌のお手入れであると同時に、気持ちを切り替えるための小さなスイッチでもあるということ。
顔を洗って、化粧水をなじませて、乳液やクリームでふたをする。この流れをただ丁寧にこなすだけで、「今日はここまで」と自分に言ってあげられる気がします。
■ 手のひらで包むように、ゆっくりと
忙しい日ほど、ついスピード重視になってしまいます。ぱぱっと塗って、そのまま布団へ。それでも十分えらいのですが、余裕のある日は、少しだけゆっくりしてみてください。
たとえば、化粧水をつけたあと、両手で顔をそっと包み込みます。頬、あご、おでこ、目のまわり。力を入れず、押さえるくらいの感覚で、数秒ずつ。
手のひらの温度がじんわり肌に伝わってくると、肩の力がふっと抜けていきます。ごしごしこすらず、なでるようにやさしく。肌にとっても心にとっても、これがいちばん心地いい触れ方です。
■ 香りと手ざわりを味方につける
静かな時間をつくるうえで、香りや手ざわりの力は意外と大きいと感じます。
やわらかく広がるテクスチャー、ほんのり香る植物の香り。お気に入りのアイテムが一つあるだけで、夜のスキンケアが「やらなきゃいけないこと」から「楽しみな時間」に変わります。
高価なものでなくても大丈夫です。使った瞬間に「あ、これ好きだな」と思えるかどうか。その感覚を大事にすると、無理なく続けやすくなります。
■ 肌が落ち着くと、気持ちも落ち着く
肌の調子が良い日は、なんとなく気分も軽いものです。反対に、乾燥していたり荒れていたりすると、気持ちまで沈みやすくなります。
だからこそ、毎日完璧を目指すのではなく、「今日の肌はどんな感じかな」と声をかけるように触れてみるのがおすすめです。ちょっとカサつくな、今日は少しもちもちしているな。そんな小さな気づきが、自分をいたわるきっかけになります。
■ 何もしない数分間を、自分にプレゼント
スマホを見ない。考えごとを手放す。ただ肌にふれて、呼吸を整える。
一日の終わりに、そんな数分間を自分にプレゼントしてみませんか。スキンケアが終わるころには、さっきまで頭の中を占めていたあれこれが、少し遠くに感じられるはずです。
■ おわりに
肌にふれる静かな時間は、今日の自分をそっとねぎらう時間です。
うまくいった日も、そうでなかった日も、洗面所の明かりの下でやさしく肌を包めば、一日がやわらかく幕を閉じていきます。
今夜も、あなたの手のぬくもりで、今日をおだやかに終わらせてあげてください。おやすみなさい。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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