朝、洗面所の鏡の前に立つ。顔を洗って、化粧水を手に取って、ぱしゃぱしゃとつける。
気づけば、ここまでの数分間をほとんど覚えていない日がよくあります。
スキンケアは毎日のことだからこそ、いつの間にか「やるべき作業」になってしまいがちです。時間がない朝は特にそう。早く終わらせたくて、手つきも少し雑になって、頭の中ではもう今日の予定のことを考えている。
けれど、ふと思ったんです。
肌にふれているこの数分間は、一日のなかで、いちばん自分自身にふれている時間なのかもしれない、と。
一日のなかで、いちばん自分にふれる時間
考えてみると、私たちは毎日いろいろなものにふれています。スマホの画面、パソコンのキーボード、電車のつり革、仕事の書類。
でも、自分の顔や肌に、ゆっくりふれる時間はどれくらいあるでしょう。
スキンケアの時間は、そのまま「自分の肌に、毎日ふれる時間」です。
もしそこに少しだけ意識を向けられたら、同じ数分間でも、きっと感じ方が変わってきます。
「ていねいに」は、むずかしいことじゃない
「ていねいな暮らし」と聞くと、少し身構えてしまう人もいるかもしれません。時間にも気持ちにも余裕がないと、できないような気がして。
でも、肌にふれる時間を大切にするのに、特別なことはいりません。たとえば、こんな小さなことです。
- 化粧水を手のひらで少しあたためてから、顔を包むようにのせる
- 肌をこすらず、やさしく押さえるようにふれる
- つけているあいだは、スマホを持たずに、その数分だけ自分に向き合う
- 乳液やクリームの香りや、のびの感触を、ちゃんと感じてみる
どれも一日に数十秒、増えるかどうかの話。それでも「今、自分の肌にふれている」と意識するだけで、気持ちの輪郭が少しはっきりします。
肌の調子は、毎日少しずつ違う
意識してふれるようになると、気づくことが増えます。
「今日はなんだか乾燥しているな」「昨日より少しくすんでいるかも」「今朝はやけに調子がいい」。
肌は毎日、ほんの少しずつ違う顔を見せてくれます。睡眠が足りなかった日、忙しくて食事が偏った日、季節の変わり目。肌は正直で、その日の自分をちゃんと映してくれます。
その変化に気づけるのは、毎日ふれているからこそ。
スキンケアは、肌を整える時間であると同時に、「今日の自分」の様子をそっとたしかめる時間でもあるのだと思います。
夜は、一日をほどく時間に
特に夜のスキンケアは、一日の終わりに自分を休ませるスイッチになってくれます。
メイクを落として、顔を洗って、肌を整えていく。
その流れのなかで、外で張りつめていたものが、ふっとゆるむ瞬間があります。
仕事で疲れた日も、うまくいかなかった日も、肌にふれる数分間だけは、誰のためでもなく自分のための時間。
「今日もおつかれさま」と心のなかでつぶやきながらふれると、不思議と気持ちが落ち着いてきます。
高いものより、ふれ方を見直してみる
スキンケアというと、どうしても「何を使うか」に目が向きがちです。
新しい化粧品が気になるのも、自然なことだと思います。
けれど、同じものを使うなら、どんなふうにふれるかで、その時間の心地よさはずいぶん変わります。
アイテムを増やす前に、ふれ方を少し見直してみる。
急いでいたら、ひと呼吸おいてみる。
それだけで、いつものスキンケアが、少しだけ特別な時間になります。
おわりに
忙しい毎日のなかで、自分のためだけに使える時間は、そう多くありません。
でも、スキンケアの数分間は、毎日きちんとそこにあります。
どうせ毎日ふれるなら、少しだけやさしく。
どうせ毎日向き合うなら、少しだけ丁寧に。
肌にふれる時間を、もう少し大切にする。
それは、自分自身を大切にすることの、いちばん身近な入り口なのかもしれません。
今日の夜、化粧水を手に取ったとき、ほんの数秒だけ、肌のぬくもりを感じてみてください。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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